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東京ドームシティ
大規模リニューアルに伴う新たなアイデンティティデザイン

東京ドームをはじめ、遊園地、スパ、ホテルや劇場など広大な敷地に多種多様な施設を有する「東京ドームシティ」。2023年から2024年にかけての大規模リニューアルにあたり、デザインの考え方と導きに一貫性がありながらも、アナログとデジタルの境界を越え、あらゆる比率や形状にも柔軟に適応可能なオリジナルのデザインシステム「アダプティブアイデンティティシステム」を考案。企業やブランドが本来持ち合わせている唯一性や世界観であるアイデンティティを視覚的に表現し、施設全体を彩る新たなアイデンティティデザインを制作した。
プロジェクト背景と4つのテーマ設定

今回のリニューアルに際し、東京ドームシティ内の各種施設の繋がりを感じる「シティ(街)」としての一体感の不足や、視覚的にも全体の統一感や独自性に欠けるなどの課題があった。これらの課題を解決するだけではなく、施設内の大小様々なデジタルディスプレイやロゴ、モーショングラフィックス、ノベルティ、サウンドに至るまで、お客様にとって忘れられない新たな感動体験の場を創造できるようなアイデンティティデザインの必要性を提案。「Exciting」「Playful」「Relax」「Modern」の4つの体験価値を全体のテーマに設定し、時代の変化にも対応できる、拡張性の高い包括的なアイデンティティデザインを目指した。
ロゴデザイン

オリジナルフォントを使用した新たなロゴデザインは、各種施設やアクティビティ、訪れる人々の多彩な“つながり”と“感動”が交錯する一つの豊かな「街」としての東京ドームシティを最大限に表現。固定された形や一つの色に限定せず、開発したソフトウェアを用いて制作することで、東京ドームシティの多様性を無限に表現し、幅広い年齢層のお客様に親しまれるようなデザインを意識した。
オリジナルバリアブルフォント

東京ドームシティの多彩な体験価値に呼応し変化する、世界的にも事例のない、オリジナルのバリアブルフォントを開発。主要施設である東京ドームのスポーティーな要素と、様々なエンターテイメントを有する各種施設の遊び心を、カジュアルでありながらもインパクトのあるサンセリフ体によって表現した。
バリアブルフォントとは、従来のフォントのように太さなどに限定されず、デザインされた文字の最小値から最大値の間であれば、自由にスタイルを設定できる文字。今回は文字の太さだけではなく、幅、高さの3つの可変軸それぞれに大きな動きの幅を持たせたオリジナルのバリアブルフォントを、書体デザイナーの大曲都市氏と作り上げた。
デザイン用ソフトウェアの自社開発

全長120m以上ある国内最大級の大型ディスプレイを含む様々な形状やSNSなど、あらゆる比率にも対応可能な「アダプティブアイデンティティシステム」を構築するため、ソフトウェアを自社開発した。なかでも、バリアブルフォントの可変性を最大限引き出すために、デザインを自由に組み上げることができるバリアブルグリッドデザインを設計し、多様な表現のモーション生成を可能にした。
誰もが運用可能な運営用ソフトウェア

デザインの技術的な専門知識がなくても簡単に操作できるUIをデザインし、デジタルシステム開発に特化したaircordとの協業によって、文字、画像、動画を組み合わせて簡単に映像を生成できるソフトウェアを開発した。誰でもクオリティの担保された映像が作成可能。このソフトウェアを導入することにより、ディスプレイに流したい日々の情報の更新や、各種施設のエリアごとのイメージ作り、また、季節やイベントに合わせた演出などを、東京ドームシティのスタッフで運用することができる。
デジタルデザイン

通常、様々なサイズや形状のディスプレイのデザインをする際には、それぞれに合わせてデザインを制作する必要があるが、今回新たに開発したバリアブルフォントとソフトウェアを用いることで、全長120m以上の大型ディスプレイ全体が繋がった映像や、SNS向けの秒数の短い動画など、一つのシステムで全てのデザインに対応することができる。
アナログデザイン

今回のようなアナログとデジタルを横断する多岐にわたるビジュアルデザインは、デザイン物の用途や仕様によって、個別にデザインを制作する必要があり、統一されたデザインとして表現できない場合が多かった。しかし、アダプティブアイデンティティシステムを採用し、今回新たに開発したデザインソフトウェアを用いることで、動画・静止グラフィックスの境界なく、トータルデザインとしての一貫性を保ちながら、あらゆるメディアに展開することができる。従来の一つに固定化されたビジュアル表現に捉われない拡張性をもって、東京ドームシティらしい「街」としての繋がりを活かし、刺激的で高揚感溢れる多様な世界観を視覚的に表現していく。
サウンドモーションロゴ

各種施設のCMの最後に入る、サウンドモーションロゴ。音楽家・Yosi Horikawa氏を起用し、様々な年代の男女の声を複数重ねたナレーションに、躍動感のあるモーショングラフィックスを合わせることで、幅広い年齢層のお客様が心踊る体験価値を味わうことができる、東京ドームシティの多様性を表現した。
サウンドデザイン

デジタルディスプレイの映像と共に流れるサウンドは、音楽家・原摩利彦氏を起用し、東京ドームシティ内でフィールドレコーディングした様々な音源を用いて制作したオリジナルサウンド。子どもたちの声がリズミカルにループする「Playful」、ゴングや人々の歓声に包まれた「Exciting」、鳥の声や水の音などシティ内の自然の音を紡いだ「Relax」、そして、楽しく、名残惜しい1日を振り返る記憶を辿るような「Modern」。全体のデザインテーマとして設定したこの4つの体験価値にふさわしい、ストーリー性溢れる楽曲に仕上がっている。
Client:
Tokyo Dome Corporation

Scope of Work:
Visual Identity Concept & Creation
Logo Design
Sound Motion Logo
Bespoke Typeface
Custom Software
Digital Signage
Motion Graphics
Printed Matter
Goods
Sound Design
Making Video
Design Direction
Design Guidelines

Team:
Design Direction/Design: &Form
Master Design Architecture: Hoshino Architects
System Development: aircord
Creative Director: Arata Maruyama
Art Director: Keitaro Takahashi
Designer: Chihiro Ishikawa
Creative Coder: Toshiki Okamoto
Assistant Designer: Hibiki Amano
Writer: Kanako Ushijima
Type Designer: Toshi Omagari
Motion Designer (Sound Motion Logo): Hironori Sugie
Sound Designer (Sound Motion Logo): Yosi Horikawa
Sound Designer (Signage): Marihiko Hara
Video Director (Signage): Daisuke Takahira
Videographer (Signage): Shintaro Yamanaka, Hirotatsu Koarai
Sound Designer (Reel): Yuta Segawa, small cow fields studios

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