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Serendie|三菱電機
私とあなたのあいだに、共創が生まれるきっかけをどうつくるか?

この問いを起点に、社員一人ひとりが参加し、つくり、使い、更新していくことで、ブランドが育ち、その熱量が次の挑戦へと連鎖していく。Serendieのアイデンティティは、そうした循環を生み出すための「仕組み」をデザインしました。
三菱電機は、2030年に向けて中核事業へと育てていく新たな事業ブランド「Serendie(セレンディ)」を立ち上げました。

横浜に設けられた第一拠点にはデジタル領域のエキスパートが集結し、データを起点に社内外との共創を生み出す“変化の起点”としての役割が期待されています。社員一人ひとりがアジャイル開発に取り組み、部門や専門領域を越えてチームを組み、試行錯誤を重ねながらプロジェクトを推進していくためには、自発的な行動を後押しする環境づくりが重要でした。

&Formは、ブランド全体と共創空間のデザインディレクションおよびアイデンティティデザインを担当しました。完成形を納品するのではなく、社員自身が主体となってつくり、使い、更新していけるデザインの仕組みを構築することで、一人ひとりが変化の起点として関わり続けられるブランド基盤を設計しています。
社員が育てるブランドアイデンティティデザイン

Serendieでは、デザイナーが完成形をつくって納品するのではなく、社員自身がつくり、使い、更新していくデザインのあり方を目指しました。そのために、社員一人ひとりがロゴやビジュアルを生成できる専用のデザインソフトウェアを開発しています。

デザインの専門知識がなくても、名前やチーム名、プロジェクト名を入力し簡単に操作するだけで、Serendieの世界観に沿ったロゴやビジュアルを制作できます。社内で立ち上がるプロジェクトのロゴや名刺、ブランドグッズなどを、日々の仕事の中で社員自身が主体的に手がけていく仕組みです。

私たちがデザインしたのは、個別の表現そのものではなく、社員がブランドに関わり続けられる「仕組み」と「デザインシステム」です。こうした日常的な関与の積み重ねが、Serendieの行動変容と共創文化を育てていきます。
新たな遭遇を創造する

Serendieの中心にあるのは、「偶然の出会いが未来をひらく」という思想です。その核心をデザインへ落とし込むため、自然に潜む“偶発性の美しさ”に着目しました。朝露の光や、交差する影が生む一瞬のかたち。意図しない要素が重なり、新しい関係が立ち上がる現象です。

これらはSerendieが目指す“偶然の出会い”と響き合い、日本文化に根付く「変化」「うつろい」「風を読む感性」とも通じています。微細なゆらぎや、境界が溶ける瞬間を手がかりに、ブランドの世界観とコンセプトを設計しました。

この思想は、事業ブランドから空間づくりまで、Serendie全体を貫くデザインの基盤となっています。
関係性を構造へとかたちにする

制作初期のスケッチでは、「わたしとあなた」「部署と部署」「三菱電機とクライアント」など、ふたつの半円によって多様な出会いをさまざまな円として描けることを考えました。

さらに、拠点やチームごとにロゴを個別制作するのではなく、半円どうしの“あいだ”に言葉を置くことで関係性が立ち上がる仕組みを視覚化しました。たとえば、間に「erendie」と置けば「Serendie」と読めます。「yokohama」と置けば「Serendie Yokohama」という拠点名になります。

つまり、半円(=関係の枠組み)と、その間に置かれる言葉(=拠点名やプロジェクト名)が組み合わさることで、新しい“円”=新しい関係性が生まれるデザイン構造です。
この構造を考える過程で、もうひとつのヒントとなったのが、制作初期にスケッチを行っていたテーブルの上の風景でした。半円のパーツや道具が無造作に並び、散らばった文字の断片が人の気配のように見え、その周囲を人が行き来する。その光景は、固定された配置ではなく、関心や対話によって人が集まり、離れ、また別の場所へ移動していく流動的な働き方のイメージと重なっていきました。

私たちはこのスケッチと情景を建築家と共有し、従来の「長方形の机に並んで働く」風景から、偶発的な出会いや会話が自然に生まれる空間へと転換することを目指しました。
オリジナル書体の開発。半円の思想から、偶発性のゆらぎを文字体系へと拡張する。

オリジナル書体の開発では、Serendieの象徴である「2つの半円」の構造を文字造形へと拡張しました。文字は円弧と直線のパーツを組み合わせて構成する「パーツで組み立てる文字構造」とし、それぞれのパーツはパラメーターによって形状が変化します。

そのため、同じ “a” であっても半円の開き方や角度、直線の長さをそれぞれに変化させることで揺らぎとして現れ、無数の表情が生まれます。入力するだけで使える標準の字形を備えながら、必要に応じて変化させられるバリアブルフォントとして設計しました。

この“変化する文字体系”は、Serendieが体現する偶発性と多様性、関係性の生成をそのままタイポグラフィに落とし込んだものです。ロゴやグラフィックモジュールと呼応しながら、ブランド表現に一貫性と柔軟な広がりを与えています。
空間にも実装されたアイデンティティデザイン

「Playful(楽しむ姿勢)」と「Try & Learn(失敗を許容し、学びに変える文化)」をキーワードに、Serendieの価値観が日々の行動として自然に立ち上がる場を目指しました。空間各所のサインやデジタルサイネージのモーションまで一貫して設計することで、Serendieの価値観が情報として掲示されるのではなく、その場の空気として感じられる体験へと落とし込みました。
Client:
三菱電機

Scope of Work:
アイデンティティデザインのコンセプト設計・制作
ロゴデザイン
オリジナル書体開発
専用ソフトウェア開発
UI/UXデザイン
モーショングラフィックス
印刷物
ブランドグッズ
デザインディレクション
デザインガイドライン策定

Team:
Total Design Direction/Design: &Form
Creative Direction/Total Brand Produce: KESIKI
Spatial Design: YOHAK DESIGN STUDIO
System Development: aircord
Typeface Design: Toshi Omagari
Furniture Design: WOOD YOU LIKE COMPANY
Tea-room Design: VUILD
Cafe Production: Coffee Elementary School
Library Partners: 本屋B&B, VALUE BOOKS
Community Organization: MIRAI-INSTITUTE
Beverage Produce: N.E.W.S PROJECT, Libushi
Website Design: Semitransparent Design
Teaser-site Design: Multiples
Media Design: INFOBAHN
Film Production: EDP graphic works
Photography: SHINYA SATO PHOTOGRAPHY OFFICE